声優が丁寧に解説!使える腹式呼吸をものにする方法

腹式呼吸 声優

こんにちは、覆面声優れおです。

前回のブログで、発声の仕組みについて大枠を説明しました。

今日は、その第1ステップでもあった、呼吸について詳しく説明していきたいと思います。

腹式呼吸が発声に良いよというは、少しでも演劇や発声に触れたことがある人は聞いたことがあると思います。
しかし、何故腹式呼吸が良いのか、そして腹式呼吸の本当の仕組みを理解している人はとても少ないように感じます。
逆に言えば、仕組みとメリットを理解して鍛錬すれば、ライバルに差をつけられます!

僕も声優を始めた時、発声だけは褒められました。だけかい笑
でもそれだけで、呼んでもらえる現場は格段に増えたと思います。
みなさんもしっかり理解して腹式呼吸マスターになりましょう!

では説明していきます。

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腹式呼吸が良い理由

前回のおさらいですが、呼吸には主に2種類ありました。

胸式呼吸と腹式呼吸

胸式呼吸
腹式呼吸

肺を広げて空気を取り込む為に外側から肺を広げてあげるのですが、外肋間筋(ろっかんきん)を収縮させるのが胸式呼吸呼吸です。
肋間筋とは肋骨(あばら骨)の間にある筋肉(いわゆるスペアリブです。美味しいですよね)で、これで肋骨を引き上げて広げることで、肺を広げます。

一方、腹式呼吸は肺の下にある横隔膜という筋肉(いわゆるハラミです。美味しいですよね)を収縮させ下に押し下げることで、肺を下方向に引っ張り広げています。

では、ここからが本題。
なぜ腹式呼吸の方が発声にはいいのか?

腹式呼吸のメリット

主な3つを紹介します。

  1. 声帯のまわりに余計な力が入らない。
  2. 胸式呼吸よりも沢山の空気を取り込むことが可能。
  3. 吐く息をコントロールしやすい。

1.声帯のまわりに余計な力が入らない。

前回のブログでも説明しましたが、声帯がクリアな音の素を作る為には、声帯と声帯まわりの筋肉がリラックスしている必要があります。

なので、物理的に出来るだけ声帯よりも遠い所で呼吸をコントロールしてあげた方が、声帯周りがリラックスできる可能性が高まるのです。
肋骨を広げる胸式呼吸ではかなり声帯に近い所が稼働しますので、たくさん息を取り込もうとすればするほど、声帯まわりにも力が入ってしまいます。

2.胸式呼吸よりも沢山の空気を取り込むことが可能。

ブレス(息継ぎ)の回数を減らしたい。芯のある大きな声を出したい。
これらを実現させる為には、たくさんの息が必要です。
その点でも腹式呼吸の方が胸式呼吸よりも優れています。

肋骨を外側に押し広げて、息を吸う胸式呼吸では、広げられる範囲に限度があります。

一方、横隔膜を下に押し下げる腹式呼吸は、横隔膜の逃げ場が広く用意されているので、たくさんの息を取り込むことが出来ます。
ただしこれには鍛錬が必要です。後述します。

3.吐く息をコントロールしやすい。

今度は取り込んだ息を、吐いていき声帯に当てて音の素を作る時の利点です。

せっかくたくさんの息を取り込んでも、吐く時にその息が声帯を振動させるのに効率的に使われなければ意味がありません。

この点でも、腹式呼吸が胸式呼吸を一歩リードしています。

肋間筋も横隔膜も息を吸う時に収縮(力が入っている状態)しています。
それを息を吐く時に、緩めていくわけなんですが、肋間筋よりも横隔膜の方が、ゆっくりをじわりじわり緩めていくことが可能です。

その結果、息が声帯を振動させる時に無駄にならず、太く長く発声することが可能になります。

実際に腹式呼吸を練習してみよう

腹式呼吸の仕組みと利点が分かったところで、実際に腹式呼吸をマスターしていきましょう。

まだ慣れないうちは、余計なところに力が入ってしまいがちなので、仰向けに寝転んでやるのがおススメです。

では、寝転んで、横隔膜を下に押し下げて、肺を広げてみましょう!どうぞ!

え?できないって?横隔膜が意識的に動かせない?
そもそもどこにあるの?

大丈夫です。
そういう時に人はイメージを使って脳を働かせます。

イメージを使って横隔膜を動かす

みぞおちのあたりから、骨盤の方に向かって風船がセットされているとイメージして下さい。

腹式呼吸でイメージする風船

息を吸う時に、この風船に息が入って膨らんでいくようなイメージです。
そして吐く時には少しずつ萎んでいくイメージを持って下さい。
注意して欲しいのは、とにかく身体の力を抜くこと。
せっかく声帯をリラックスさせる為に、腹式呼吸にしているのに、全体に力が入っていたら意味がありません。

上手くお腹が膨らんでいれば、その時稼働しているのは、横隔膜です。何回も繰り返して横隔膜を意識出来るようになりましょう。

注意すること


声優の養成所などで、生徒の皆さんに腹式呼吸について知っていることを聞くと、結構な割合でこの風船の話しが出ます。
でも、それが横隔膜を動かす為のイメージだということを理解している人は少ないです。
息は肺にしか入りません。腹式呼吸でお腹が膨らむのは、横隔膜が押し下げられたことによって、そこにあった内臓が下に逃げてくるからなのです。
仕組みとイメージを混同しないこと。これはかなり大事です。

より明確に横隔膜を意識する

風船のイメージだけでは、どうも横隔膜が意識できない。腹式呼吸ができているのか心配だという人は、次のことをやってみましょう。

胸式と腹式を交互に繰り返す

複式か胸式か意識するには、どっちもやってみて違いをかんじるのが一番です。
実は、腹式呼吸が出来ていても、胸式呼吸も同時にやっている人が結構います。
はっきりと使い分けられるようになりましょう。

仰向けで寝転び、胸に右手、お腹(おへそのあたり)に左手を置きましょう。
息を吸う時に、右手が持ち上がれば胸式、左手が持ち上がれば腹式です。
何度も繰り返し、ちゃんと意識的に切り替えられるようになりましょう。

立ち上がって腹式呼吸呼吸してみる

寝た状態で十分に腹式呼吸が意識出来るようになったら、立ち上がって同じ事をしてみましょう。
台詞を言うのは大抵立ち上がってですからね。
まだ今のところ声優の現場で寝転がって収録しているのに出会ったことはありません笑

ただし、立ち上がると身体が緊張しやすくなります。
くれぐれもリラックスを心がけて下さい。

力が入りやすい人は、まず上半身は起き上げずダラリとしたままで、

慣れてきたら完全に起き上がってやるのをオススメします。

もう一点注意して欲しいのが、寝ている時には意識できなかった、背中側の膨らみです。
内臓の逃げ場所が広ければ広いほど、沢山の息を取り込むことが出来ます。
腰に手を当ててそこがしっかり膨らむかチャレンジして下さい。

上手くいかない人は胴廻りに浮き輪をはめているイメージを使うといいです。

最後に

腹式呼吸の仕組みと意識を高める練習方法を説明しました。
腹式呼吸はやればやるほど呼吸が深く強くなります。
横隔膜をより押し下げるには、横隔膜自体の可動域の拡充と、内臓の逃げ場となる骨盤底筋が柔軟さが必要になります。
その方法は、腹式呼吸の強化方法、そして吐く時の息のコントロール方法と一緒にまた改めて書きたいと思います。

長々とありがとうございました!

コメント

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